最近、相続をめぐる大きな問題として「負動産(売るに売れない不動産)」の増加が注目されています。特に地方では、固定資産税の負担や管理責任の問題から、相続を放棄するケースが増えているのが現状です。
■ 0円でも手放したい家が増えている?
奈良市に住むAさん(88歳)は、かつて家族と暮らしていた築49年の一軒家を「0円でもいいから手放したい」と考えています。その理由は、
✅ 奥様を亡くし、一人暮らしを続けるのが困難になった
✅ 運転免許を返納し、利便性の高い市街地のマンションへ移住
✅ 空き家の管理ができず、建物の劣化が進んでいる
郊外の207坪にある築49年の一軒家、なぜこの物件がタダなのか?
JR平城山駅から徒歩10分、立地も悪くなさそうなのに。
しかし、この物件には大きな問題がありました。
■ 市街化調整区域の建築許可問題
Aさんの家が建っているのは「市街化調整区域」と呼ばれるエリア。ここでは、新たに建物を建てるには「建築許可証」が必要です。Aさんは過去に許可を取得していましたが、その許可証を紛失してしまいました。
このため、
☑ 建物をそのままリフォームすることは可能
☑ しかし、取り壊して新築することはできない
そのため、土地の再活用が難しく、結果として0円でも引き取ってほしい状況になってしまったのです。
■「みんなの0円物件」サイトの利用者急増
Aさんのように、不要になった家を無償で譲渡したい人向けに「みんなの0円物件」というサイトが存在します。
このサイトへの掲載数は、2019年には年間50件ほどでしたが、2024年5月には月間200件以上に増加しているそうです。
■ 相続放棄が増えている理由
売るに売れない「負動産」が増えて行くなか、増えているのが「相続放棄」です。
「負動産」を相続してしまうと、以下のような負担が発生します。
💰 固定資産税の支払い義務
🔧 老朽化による維持・修繕のコスト
⚖️ 売却しようにも買い手がつかないリスク
このような理由から、都内の司法書士事務所には毎月100件以上の相続放棄の相談が寄せられています。特に「親の借金を相続したくない」だけでなく、「価値のない不動産を引き継ぎたくない」という理由で相続放棄を選ぶ人が増えています。
空き家などの場合、過疎地になると売却したくても買い手がつく可能性が低いため、そのような物件しかない相続だと、そのまま所得してても所有者の負担が増えるため、相続放棄を検討される方が一定数いるとのことです。
「負債が相続する財産より多い場合だと、相続放棄する方がメリットがある」というのが専門家のご意見。
確かに都内であれば土地に資産価値がありますが、地方の山奥の空き家などは値段がつかない。そして固定資産税だけを払い続けるのは大変なことです。
借金や空き家になったおうちを相続したくないということで、負の遺産から開放されるために「相続放棄」を選ぶ人は、統計上でも向こう10年は亡くなる方の数が増え続けて行くため、相続放棄の件数が今後も増えて行くことは間違いありません。
■ 相続人の範囲と相続放棄のリスク
相続人には、以下のような順位があります。
1️⃣ 配偶者と子(第1順位)
2️⃣ 両親・祖父母(第2順位)
3️⃣ 兄弟姉妹・甥姪(第3順位)
相続放棄をすると、次の順位の相続人に権利と義務が移るため、放棄する際には他の親族への影響も考慮しなければなりません。
ポイント:負の遺産が突然やってくることも
被相続人の配偶者が借金を背負いたくないことを理由に、相続を放棄した場合、子や孫、父母がいない場合は、第3順位である被相続人の兄弟姉妹家族にその義務が発生してしまいます。
またこの場合、相続放棄をした配偶者は、第3順位の家族へ、事前に知らせることを怠ってしまうと、その家族は知らせを受けることなく相続人となってしまい、さらなる問題の元になってしまいます。
■ 相続放棄の手続きと注意点
📝 費用:司法書士に依頼すると12,000円〜85,000円ほど
⏳ 期限:相続を「知ってから3ヶ月以内」に手続きが必要
ポイント:相続放棄の手続きは、法的書類の手続きは多いため、司法書士に依頼がスムーズ
また、相続放棄の期限は、被相続人が亡くなった日からではなく、自分が相続人であることを知った日から3ヶ月となります。例えば、親戚である被相続人と何年も交流がなく、5年後に亡くなったこと相続義務があることを通知などで知った場合、その日から3ヶ月以内に決める必要があります。
ポイント:一度相続放棄の手続きを行うと「取り消しはできない」
例えば、相続放棄の手続きをしたあとに、実はとんでもない価値の遺産や財産が出てきた場合、それらを引き継ぐことはもうできないということ。
なので相続放棄の決断を行う場合は、慎重に調査を行い、資産価値や負債について見定めることが重要となります。3ヶ月という期間は短く、その期間内に調査を行ったり、決断するのはなかなか大変です。
■ 相続放棄しても管理義務が残る!?
「相続放棄をすれば空き家の問題から解放される」と思っている方も多いですが、実は放棄した後も一定の管理義務が発生する可能性があります。
例えば、
🏚 放置した空き家が倒壊し、第三者に被害を与えた場合
🔥 火災や不法投棄などが発生した場合
こうしたトラブルを防ぐためにも、親が元気なうちに「終活」として不動産の整理をしておくことが大切です。
■ まとめ:負動産を残さないために
✅ 不要な不動産は早めに売却・活用を検討する
✅ 相続放棄のリスクを理解し、専門家に相談する
✅ 家族と事前に話し合い、円満な相続を目指す
今後、さらに相続放棄が増加すると予想される中、「負動産を持たないための準備」がますます重要になってきます。
🔽 今回の記事は、ABCテレビニュース様の放送内容を参考に考察をまとめました。動画の方もぜひご覧ください!
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誰もがいつかは必ず考えなくてはいけないおうちの相続、使われないおうちが負動産になってしまう前に、家族で終活に取り組むことをおすすめしております。
オハナホームには、終活カウンセラーや上級相続診断士が在籍しており、おうちのご相談に関して無料でご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にご連絡下さい!