「いつかは話し合わなければ」と思いながらも、後回しにしがちな実家の行く末。空き家は突然生まれるのではなく、家族間で十分な話し合いがないまま時間が過ぎることで生まれます。
住まいに関する情報や想いを家族で共有し、将来への共通認識をつくるためのツールとして生まれたのが「おうち終活ノート」です。
空き家の多くは「相続」をきっかけに生まれている
総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、全国の空き家数は過去最多の約900万戸に達し、住宅総数の13.8%を占めています。
特に注目したいのが、空き家の57.9%が相続によって取得された物件だという点です。親が亡くなった後、子どもたちが「どうするか」を決められないまま放置するケースが、典型的なパターンといえます。
「なんとかしなければ」と思いつつも、解体費用の問題や活用の見通しが立たず、年月だけが経過していく。その間にも建物は老朽化し、管理の手間と固定資産税の負担が積み重なっていきます。
2015年施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、空き家の適切な管理は所有者の義務とされています。放置が続いて「特定空家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が外れ、税額が最大6倍になる可能性もあります。かつて家族を守ってきた「資産」が、気づかないうちに「負動産」へと変わってしまうリスクは、決して他人事ではありません。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査 結果のポイント」(2024年)
「おうち終活ノート」は、家族の対話を生み出すツール
一般的なエンディングノートは、医療・介護・葬儀・財産など人生全般を幅広く記録するものです。そのため「実家をどうするか」という住まいに関する情報が、十分に盛り込まれていないケースが少なくありません。
こうした課題から生まれたのが「おうち終活ノート」です。一般社団法人空き家再生協会が制作し、国土交通省の空き家対策モデル事業にも採択されています。
大きな特徴は、家主(親)用の本冊と、家族(子ども・親族)用の「ご家族シート」に分かれている点です。家族シートは協会ウェブサイトから無料でダウンロードでき、「おうちの想い出」「家族への共通認識」など、目的に応じてページを選べます。
活用の流れはシンプルで、次の3段階で進めます。
| STEP | アクション | 内容 |
| 1 | 印刷して渡す | 家族シートを人数分印刷し、それぞれに手渡します。 |
| 2 | 各自で記入する | 親はノート本冊に、子どもや親族は家族シートに書き込みます。形式よりも「自分の気持ちと素直に向き合うこと」が大切です。 |
| 3 | 持ち寄って話し合う | 記入したシートをもとに、「この家をどうするか」を話し合います。ノートという共通の題材があることで、普段は切り出しにくい話題にも自然と向き合えます。 |
「実家のことを聞きにくい」「子どもに迷惑をかけたくない」。そんな遠慮が、家族の対話を難しくしてきたのではないでしょうか。ノートに書くという行為が間に入ることで、感情的になりにくく、お互いの本音を落ち着いて共有できます。「書いてから話す」プロセスは、家族の想いを整理し、未来の話し合いをスムーズに始めるための第一歩になります。
情報を整理することで、家族の選択肢が広がる
おうち終活ノートには、不動産の基本情報(住所・地番・登記名義人・固定資産税の額など)を書き込む欄が設けられています。地味な作業に見えますが、相続が発生したときに大きな意味を持ちます。
2024年4月からは相続登記が義務化されました。名義が親のままになっている物件は早期の対応が必要であり、事前に情報を整理しておくことがスムーズな手続きへの近道になります。
将来のおうちをどうしたいか(売却・賃貸・誰かに住み継ぐなど)を親が書き残しておけば、子どもたちは方向性を把握したうえで準備を進められます。兄弟間で意見が割れたまま空き家になる状況を防ぐためにも、早い段階での情報共有が欠かせません。
オハナホームは、「想いをつなぎ、笑顔をつくる。」という理念のもと、相続や終活に関するサポートも行っております。相続診断士や空き家再生士が具体的な解決策をお客様と一緒に考えます。
ノートを書くことは「終わり」の準備ではなく、大切な家と家族の未来を守るための第一歩です。
関連記事:おうち終活ノートてんこもり版