家の中にゴミがあふれる「ゴミ屋敷」や、長期間放置された空き家は、本人だけでなく近隣住民にも深刻な影響を及ぼす社会問題です。悪臭や害虫の発生、火災リスクの増大など、放置するほど事態は悪化していきます。
この記事では、ゴミ屋敷が生まれる背景や問題点、早期解決のためにできることをお伝えします。
ゴミ屋敷の現状|全国で5,000件以上が報告される深刻な実態
環境省の調査によると、平成30年度から令和4年度までに全国で認知されたゴミ屋敷は累計5,224件にのぼります。千葉県内だけでも341件の事案が報告されており、そのうち解決に至ったのは約45%にとどまっています。
調査からは以下のような実態も明らかになっています。
- 最長で39年間放置されている事例も
- 居住者は単身世帯や高齢者世帯が非常に多い
- 自治体の対応に非協力的・無理解なケースが約8割
一度発生すると解決までに長い時間がかかることも珍しくありません。ゴミ屋敷問題は単なる生活習慣の乱れではなく、高齢化や社会的孤立、心の健康問題とも深く結びついています。
出典:環境省「令和4年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(2023年3月) https://www.env.go.jp/content/000123210.pdf
なぜゴミ屋敷になるのか|4つの主な原因
ゴミ屋敷の住人は、決して「好きでゴミに埋もれている」わけではありません。些細なきっかけから生活環境が悪循環に陥り、次第に本人の手に負えなくなっているケースがほとんどです。
生活習慣や時間の問題
仕事が多忙で不規則な生活を送っていると、家事に手が回らなくなりがちです。ゴミ出しの曜日や時間に間に合わず、出しそびれたゴミが少しずつ溜まっていく悪循環が生まれます。昼夜逆転の勤務でゴミ出しのタイミングを逃し続けた結果、部屋が埋もれてしまった事例も報告されています。
分別ルールの複雑さ
自治体によっては10種類以上の分別が必要な地域もあり、「分別方法がわからない」「ルールを間違えて注意されるのが怖い」といった理由でゴミ出し自体を避けてしまう人もいます。近隣住民から分別ミスを指摘されたことがきっかけで萎縮し、ゴミを出せなくなってしまうケースも少なくありません。
高齢化による体力・気力の低下
高齢の一人暮らし世帯では、重いゴミを収集所まで運ぶ作業や掃除自体が身体的に困難になることがあります。孤独感から生活全般への意欲を失い、片付けを後回しにするうちに手に負えなくなる場合もあります。親族が久しぶりに訪問した実家がひどいゴミ屋敷になっていたという事例も増えています。
心の病やセルフネグレクト
うつ病や認知症、発達障害などにより片付けが困難になるケースも見られます。ADHD(注意欠如・多動症)やホーディング障害(病的収集癖)といった状態では、本人の意思だけでは対処が難しい場合があります。このような背景がある場合は、周囲が叱責するのではなく、専門医や福祉機関の力を借りながらケアしていくことが大切です。
ゴミ屋敷がもたらす深刻な問題
ゴミ屋敷を放置すると、当事者だけでなく周辺住民にもさまざまな悪影響が出てきます。
総務省の調査では、全事例の約8割で何らかの周辺被害が発生していました。
- 火災発生のおそれ:56.9%
- 悪臭の発生:51.9%
- 害虫・害獣の発生:47.5%
出典:総務省行政評価局「『ごみ屋敷』対策に関する調査結果」(2024年8月公表) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_240809000172217.html
実際に東京都内では、20年以上ゴミを溜め込んでいた住宅でろうそくの火が燃え移り、住人が亡くなる火災事故が発生しています。可燃物が山積みになった空間では、一度火が付けば瞬く間に燃え広がり、周辺住宅を巻き込む大惨事になりかねません。
建物への影響も深刻です。大量のゴミの重みで床が抜けたり、通風が悪くなって湿気がこもることで柱や壁が腐食したりします。経年劣化と相まって倒壊の危険性が高まり、地震や台風の際に周囲へ被害を与えるリスクも生まれます。
近隣とのトラブルも頻発しています。「ゴミではなく財産だ」という住人の主張と周囲の要望が平行線をたどり、訴訟沙汰に発展することもあります。不動産業界からは「近隣にゴミ屋敷があると住宅が売れにくい」「周辺の不動産価値が下がる」といった指摘も出ており、地域全体への影響は無視できません。
早期解決のための具体的な対策
ゴミ屋敷化を防ぐため、またすでに問題を抱えている場合に解決へ向かうためには、早めに動き出すことが大切です。
日常からできる予防策
普段から物を溜め込まない習慣を意識することが大切です。ゴミ出しの日をカレンダーに記入してリマインダーを設定し、収集日に必ず出すよう心がけましょう。「後でまとめて」ではなく、その都度こまめに処分する習慣が、ゴミ屋敷化を防ぐ第一歩となります。
不用品でもまだ使える物は、フリマアプリや寄付、自治体のリサイクルセンターを活用する方法があります。「ただ捨てる」のではなく「次の価値につなぐ」という発想を持つことで、処分への心理的なハードルも下がります。
専門業者への依頼
本人や家族の手に負えないときは、無理に自力で片付けようとせず専門業者に頼むことも考えてみてください。ゴミ屋敷清掃を専門とする業者なら、分別・大量廃棄・消臭消毒といった作業を安全に進めてくれます。
費用は規模によって異なり、軽トラック1台程度の回収で数万円、大量のゴミ撤去とハウスクリーニングを含めると数十万円から百万円単位になることもあります。業者を選ぶ際は、一般廃棄物収集運搬業許可や古物商許可を持っている信頼できる会社かどうか確認しておくと安心です。
空き家の売却という選択肢
住む人がいない実家や空き家を持て余している場合、不動産業者への売却も有効な選択肢です。早めに売却すれば固定資産税などの維持費負担が減り、老朽化する前に有効活用してもらえる可能性が高まります。
近年は空き家問題の深刻化を受けて、空き家買取を専門に行う不動産会社も増えています。当社オハナホームでは「空き家再生のプロフェッショナル」として、家の中にゴミや荷物が残ったままでも現状のまま買取査定を行っています。所有者様ご自身が無理に片付けをしなくても済むため、手間と費用を大幅に削減できます。
「使わない家をずっと放置してリスクを溜め込むより、早めに手放して身軽になる」という考え方も、問題解決への一つの方法です。
まとめ|早期の行動が解決への近道
ゴミ屋敷や管理放棄された空き家の問題は、本人の生活習慣だけでなく、高齢化社会が抱える孤独や心の問題、相続や経済状況など、さまざまな要因が絡み合っています。
大切なのは、「このままではいけない」と一歩踏み出すこと。放置すればするほど状況は悪化しますが、適切な対策を取れば必ず解決への道が開けます。心の問題や高齢による衰えが背景にある場合は、本人を責めるのではなく寄り添う姿勢で支えていくことが大切です。
専門業者への依頼や不動産会社への相談は、決して恥ずかしいことではありません。安全で快適な生活を取り戻すための前向きな一歩です。早めに動き出すことが何よりの対策であり、その先にはスッキリと片付いた住まいと穏やかな日常が待っています。