地域のつながりで防ぐ孤独死と空き家

高齢者の孤独死は、誰にも看取られずに自宅で亡くなり、しばらく発見されない死を指します。警察庁の統計によれば、2024年に自宅で死亡した一人暮らしの人は約7万6千人にのぼり、そのうち8割近くを65歳以上の高齢者が占めています。孤独死はその後の住居の空き家化とも深く関わっており、地域のつながりで防ぐ視点が重要です。

出典:警察庁「令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について」
https://www.npa.go.jp/news/release/2025/20250401002.html

孤独死は「個人の問題」ではなく「社会の問題」

孤独死と聞くと、本人が孤独のうちに亡くなった悲しい出来事として捉えられがちです。しかし、その影響は本人だけにとどまりません。

発見までに時間がかかれば遺体の腐敗が進み、特殊清掃や消臭、リフォームが必要になります。遺品整理や残置物の撤去だけで100万円以上かかるケースもあり、残された家族や関係者には大きな経済的・精神的負担がのしかかります。

さらに、身寄りのない高齢者が亡くなった住宅は「事故物件」となり、売却や賃貸が困難になることも少なくありません。相続人がいても適切に管理されなければ空き家化が進み、倒壊や火災、害虫の発生、不法侵入といったリスクを地域にもたらします。

孤独死は故人の尊厳だけの問題ではありません。遺体処理や清掃、住宅の資産価値低下、財産整理など、残された人々や地域社会に多大な負担をもたらします。そして、その背景には地域社会とのつながりの希薄化があることも少なくありません。孤独死を個人の不幸として片付けるのではなく、社会全体の課題として向き合う視点が求められています。

地域参加と外出習慣が命を守る

では、地域のつながりを強めることで孤独死は本当に防げるのでしょうか。研究データはその可能性を示しています。

東京都健康長寿医療センター研究所が埼玉県和光市で高齢者1,000人以上を6年間追跡した研究では、家族以外との交流が週1回未満かつ外出頻度が週2回未満という「社会的孤立」と「閉じこもり」の両方に該当する高齢者は、どちらにも当てはまらない人に比べて死亡率が2.2倍に高まるという結果が出ました。

都道府県別のデータを見ても、高齢者のサロン活動や趣味の集まりへの参加率が高い地域ほど孤独死の発生率が低い傾向があります。孤独死の多い県では参加率が全国平均の6.2%を下回る一方、参加率が高い県では孤独死が少ないことが確認されています。

家に引きこもりがちな高齢者でも、地域の集まりに顔を出せば周囲の人の目に留まり、「最近見かけないけど大丈夫か」と気に掛けてもらえます。それ自体が孤独死対策になるという指摘もあり、週1回でも外出する習慣をつくることがリスク低下につながると考えられます。

出典:東京都健康長寿医療センター研究所「高齢者の孤立死予防に向けた住民と地域包括支援センターの連携」
https://www.tmghig.jp/research/topics/201401-3424/

見守りと「おうち終活」で空き家化を防ぐ

孤独死を防ぐことは、そのまま空き家予防策にもなります。高齢者が地域に見守られながら生活できれば、急逝して長期間放置されるリスクは下がり、住居が放棄される事態を避けられます。

仮に亡くなっても、日頃から近所付き合いがあれば近隣住民がすぐに異変に気づき、行政や親族への連絡が早まります。家財整理や後片付けも適切に行われ、家屋が荒廃して資産価値を大きく損ねる前に対処できるのです。

もう一つ重要なのが、高齢者とその家族が事前に住まいの整理について考えておくことです。「実家じまい」「おうち終活」という言葉も聞かれるようになり、親が健在なうちから実家の処分・活用を話し合う家庭も増えています。

空き家問題に取り組むオハナホーム株式会社では、終活の段階から住まいの相談を受ける支援モデルを実践しています。空き家再生協会が認定した「おうち終活ノート」を活用し、人生の最終章を迎える前に自宅や所有不動産をどうするか整理しておく手伝いを行っています。

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孤独死も空き家も、放置すれば「明日は我が身」の課題となります。地域のつながりという財産を見直し、高齢者を社会全体で見守り支える仕組みづくりが求められています。

 

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