実家が空き家になっているが、どうすればいいかわからない。そう感じている人は少なくないはずです。手をつけられないまま放置された家は、所有者だけでなく周囲の住民にも影響を及ぼすことがあります。2025年11月に大分市佐賀関で起きた大規模火災では、170棟以上が焼損し、そのうち70棟程度が空き家だった可能性が指摘されています。
なぜ空き家が延焼リスクを高めるのか、そして相続後に何から手をつければいいのかを整理します。
焼損約170棟のうち70棟が空き家の可能性——大分の火災が示した構造的なリスク
2025年11月18日午後5時45分ごろ、大分市佐賀関で住宅や空き家など少なくとも170棟以上が焼損する大規模火災が発生しました。当時は強風注意報が発令されており、火は強風にあおられながら一帯に広がっていったとみられています。
大分市が2020年度に実施した空き家の実態調査と焼損範囲を照らし合わせると、焼損約170棟のうち70棟前後が空き家の可能性があります。被災地域は「高経年の木造建築物等が密集した住宅市街地」で空き家が比較的多く、火元住戸の近隣にも普段人のいない住戸が複数棟存在していたとされています。近隣住民が最初に通報した時点で、すでに火元から周辺への延焼が始まっていました。
地域の特性も被害の大きさに関係していたと考えられます。大分市の第2期空家等対策計画の概要版によれば、佐賀関地区の空き家等は2020年度の実態調査で561件。地区別では目立つ水準にあり、1959年以前に建てられた空き家の割合も高く、建物が古い地域という背景がありました。
「木造密集地・高経年住宅・空き家・初動の遅れ」という条件が重なったとき、被害はどこまで広がるのか。今回の火災は、その現実を可視化した事例のひとつといえます。そしてこの条件は、佐賀関だけに当てはまる話ではありません。
なぜ空き家があると延焼リスクが高まるのか
空き家が火災のリスクを高める理由は、「建物が古いから」だけではありません。消防庁のガイドラインが指摘する主な要因は以下の三点です。
- 異変を察知する人がいない
- 管理不全による「燃えやすい状態」
- 侵入による放火リスク
今回の大分市の火災でも、近隣住民が気づいた時点ではすでに延焼が広がっていました。人が住んでいれば気づける煙や焦げ臭さも、無人の家では誰も感知できません。枯れ草や落ち葉の放置・可燃物の置き去り・破損した開口部は延焼の通り道になり、施錠が甘ければ侵入による放火を招くリスクもあります。東京消防庁によれば、空き家は夜間の管理が手薄なほど放火されやすいとされています。
全国の空き家は2023年の住宅・土地統計調査で900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。賃貸・売却用や別荘などを除いた「放置予備軍」だけでも385万戸に上り、こうしたリスクは大分に限った話ではありません。
出典:令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 総務省統計局
相続後に何から手を付けるべきか——危険を放置しないための優先順位
空き家の整理が進まない背景には、感情・費用・制度・立地といった複合的な事情があります。「怠慢だから放置している」というよりも、どこから手をつければいいかわからないまま時間が経つケースがほとんどです。方針がまだ決まっていなくても、まず着手できる対策はあります。
- 施錠の確認と補強
- 庭木・枯れ草の片付け、雑草の除去
- 家財や可燃物の整理・撤去
- 電気・ガスの契約状況の確認と必要に応じた遮断
- 定期的な見回り(遠方の場合は管理サービスや地元業者への依頼)
消防庁の通知では、空き家の所有者や管理者に対し、侵入防止・周囲の可燃物除去・電気やガスの確実な遮断といった措置を求めています。売るかどうかを決める前でも、危険を減らす行動は先にとれます。
電気については、「とにかくブレーカーを落とせば安心」とは一概に言えません。防犯設備や凍結防止のために通電が必要なケースもあるため、使わない設備を止めつつ必要な設備は残すという判断は、管理会社や専門家と確認しながら進めるのが現実的です。
法制度の面でも、先送りのコストは上がっています。2023年の空家等対策特別措置法の改正により、管理不全な空き家と認定された場合、固定資産税の住宅用地特例が適用外になる可能性があります。防災の観点だけでなく、税制の観点からも、長期放置のリスクは無視しにくくなっています。
「いきなり売る」を決めなくていい
片付けが終わっていない、権利書がどこにあるかわからない、気持ちの整理がついていない。空き家の整理が前に進まない理由の多くは、建物そのものより前の段階にあります。売る・貸す・解体する・再生するのどれが正解かは、建物の状態や立地、家族の意向によって異なります。
荷物が残ったまま、方向性が決まっていない段階でも、片付け・相続・売却・再生を一体で相談できる専門家に話すことで、選択肢が広がり、対処の費用も抑えやすくなります。オハナホームは「空き家の想いをつなぐパートナー」として、現状のまま買取査定や相談を受け付けています。空き家再生士・相続診断士が在籍しており、何から話せばいいかわからない状態でも、一緒に糸口を見つけることができます。