名古屋市の強制解体事例で考える|空き家の放置は”資産”ではなく”請求される負債”になる

2025年1月、名古屋市中村区の老朽化した空き家に行政代執行が実施されました。市が数年にわたって解体・修繕を求め続けたにもかかわらず、所有者が応じなかった末のことです。費用は約200万円で、その全額が所有者に請求される方針と報じられました。

「とりあえず置いておけばいい」と思っていた実家が、ある日突然、数百万円規模の請求対象になる。名古屋市の事例は、空き家を持つ誰にとっても、決して他人事ではありません。

出典:TBS NEWS DIG「危険な空き家 所有者が「解体」に応じず行政代執行 費用約200万円」

「持っているだけなら損はしない」は本当か

相続した実家や、親が施設に入って空いた家をひとまず現状維持にしている方は少なくありません。住まなければ費用はかからない、土地は残る。そう感じるのは自然なことです。ただ実態は、そう単純ではありません。

住んでいない家にも、固定資産税と都市計画税は毎年かかります。税額は物件によって異なりますが、合計で年10〜20万円前後になるケースが多いです。まずは毎年届く課税明細書で、今の税額を確認してみてください。

税金以外の負担も積み上がります。誰も住まない家は急速に傷んでいきます。雨漏り、草木の繁茂、害虫の発生、外壁の劣化。小さな不具合は放置するほど大きな工事へと発展し、いざ売却しようとしても買い手がつきにくくなります。手元に残る金額は、時間が経つほど確実に少なくなっていきます。

「何もしていないから損していない」ではなく、「何もしないことで、じわじわとコストが積み上がっている」。それが空き家の実態です。

放置が続くと、法的にどこまで進むのか

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)では、危険な空き家に対して市町村が段階的に措置を講じることができます。流れは、助言・指導から始まり、勧告、命令、そして行政代執行へと進みます。

見落とされがちなのが、途中段階での税負担の変化です。「特定空家等」や「管理不全空家等」として勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の適用対象から外れます。小規模住宅用地には課税標準を6分の1に軽減する特例がありますが、それが解除されると税負担は最大約6倍水準になり得ます。「建物が建っているから税金は安いまま」という考えが、気づかぬうちにリスクになることもあります。

2023年の法改正では、特定空家になる前段階の「管理不全空家等」にもこの措置が拡大されました。かなり危険な状態にならなくても、途中の段階で税が重くなる仕組みへと変わっています。命令に従わない場合は50万円以下の過料の可能性もあり、最終的には今回の名古屋市のように行政代執行へと至ります。代執行費用は原則として所有者が負担します。「行政が片づけてくれた」で終わらず、費用の請求は所有者に向かってきます。

出典:名古屋市「名古屋市中村区における行政代執行の実施」

「まだ決めていない」段階でも、相談できる場所がある

空き家をなかなか動かせない理由は、金銭面だけではありません。親への思い入れ、遺品が残ったままで踏み込めない気持ち、兄弟間での意見の食い違い。こうした事情が重なって、「売るか残すか」をすぐに決められないという声は、多くの方からお聞きします。

ただ、決めないこと自体にも、確実にコストが発生しています。相続した空き家を早めに手放すことには税制上のメリットもあり、一定の要件を満たす場合は2027年12月31日までの売却で最高3000万円の譲渡所得控除が受けられる特例があります。2024年4月からは相続登記も義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必要です。「名義はそのまま」という先送りも、以前より通りにくくなっています。

大切なのは、残すか売るかを急いで決めることではありません。まず「今この家にいくらかかっているか」「荷物の量はどのくらいか」「相続の状況はどうなっているか」を整理するだけで、次の判断がしやすくなります。

オハナホームでは、空き家相談・買取り、遺品整理・おかたづけ、再活用の検討まで、所有者の想いを大切にしながら一貫してご相談いただけます。荷物が残ったままの状態でも、何も決まっていない段階からでも、気軽にご連絡ください。「空き家再生を通して、日本中を笑顔に。」その想いで、一軒一軒の所有者の方と向き合っています。

 

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