この記事の結論
相続放棄は、自分のために相続が始まったと知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述します(民法915条1項)。裁判所に納めるのは申述人1人につき収入印紙800円と郵便料です。受理後は原則として撤回できないため、財産と負債を調べきれないときは、同じ3か月の間に期間の伸長を申し立てる方法があります。
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最近、相続をめぐる大きな問題として「負動産(売るに売れない不動産)」の増加が注目されています。特に地方では、固定資産税の負担や管理責任の問題から、相続を放棄するケースが増えているのが現状です。
■ 0円でも手放したい家が増えている?
ABCテレビの放送で紹介された、奈良市に住むAさん(88歳)は、かつて家族と暮らしていた築49年の一軒家を「0円でもいいから手放したい」と考えています。その理由は、
✅ 奥様を亡くし、一人暮らしを続けるのが困難になった
✅ 運転免許を返納し、利便性の高い市街地のマンションへ移住
✅ 空き家の管理ができず、建物の劣化が進んでいる
郊外の207坪にある築49年の一軒家、なぜこの物件がタダなのか?
JR平城山駅から徒歩10分、立地も悪くなさそうなのに。
しかし、この物件には大きな問題がありました。
■ 市街化調整区域の建築許可問題
Aさんの家が建っているのは「市街化調整区域」と呼ばれるエリア。ここでは、新たに建物を建てるには「建築許可証」が必要です。Aさんは過去に許可を取得していましたが、その許可証を紛失してしまいました。
このため、
☑ 建物をそのままリフォームすることは可能
☑ しかし、取り壊して新築することはできない
そのため、土地の再活用が難しく、結果として0円でも引き取ってほしい状況になってしまったのです。

■「みんなの0円物件」サイトの利用者急増
Aさんのように、不要になった家を無償で譲渡したい人向けに「みんなの0円物件」というサイトが存在します。
ABCテレビの放送によると、このサイトへの掲載数は、2019年には年間50件ほどでしたが、2024年5月には月間200件以上に増加しているそうです。
■ 相続放棄が増えている理由
家庭裁判所に新たに申し立てられた相続放棄の申述は、2025年(令和7年)に323,524件でした(司法統計年報 家事編)。
売るに売れない「負動産」が増えて行くなか、増えているのが「相続放棄」です。
「負動産」を相続してしまうと、以下のような負担が発生します。
💰 固定資産税の支払い義務
🔧 老朽化による維持・修繕のコスト
⚖️ 売却しようにも買い手がつかないリスク
このような理由から、都内の司法書士事務所には毎月100件以上の相続放棄の相談が寄せられています(ABCテレビの放送内容より)。特に「親の借金を相続したくない」だけでなく、「価値のない不動産を引き継ぎたくない」という理由で相続放棄を選ぶ人が増えています。
空き家などの場合、過疎地になると売却したくても買い手がつく可能性が低いため、そのような物件しかない相続だと、そのまま所得してても所有者の負担が増えるため、相続放棄を検討される方が一定数いるとのことです。
「負債が相続する財産より多い場合だと、相続放棄する方がメリットがある」というのが専門家のご意見。
確かに都内であれば土地に資産価値がありますが、地方の山奥の空き家などは値段がつかない。そして固定資産税だけを払い続けるのは大変なことです。
借金や空き家になったおうちを相続したくないということで、負の遺産から開放されるために「相続放棄」を選ぶ人は、統計上でも向こう10年は亡くなる方の数が増え続けて行くため、相続放棄の件数が今後も増えて行くことは間違いありません(ABCテレビの放送内容より)。
■ 相続人の範囲と相続放棄のリスク
相続人には、以下のような順位があります。
配偶者は常に相続人になります(民法890条)。そのうえで、①子(第1順位)②直系尊属=父母・祖父母(第2順位)③兄弟姉妹(第3順位)の順に、配偶者と並んで相続人になります。子や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子(孫・甥姪)が代襲相続します。
同じ順位の相続人が全員放棄すると、次の順位の人が相続人になるため、放棄する際には他の親族への影響も考慮しなければなりません。
ポイント:負の遺産が突然やってくることも
子が全員相続放棄をすると(子が先に亡くなり、孫が代わりに相続人になっている場合は、その孫も含めて)、父母(父母がいなければ祖父母)が相続人になり、その人たちもいない(または全員が放棄した)場合は、兄弟姉妹が相続人になります。子が放棄しても、その子(孫)が代わりに相続人になることはありません(民法887条2項・939条)。配偶者は、ほかの誰が放棄しても、放棄しない限り相続人のままです。兄弟姉妹は、放棄した人から知らされないと、借金の請求が届いて初めて自分が相続人だと気づくこともあります。放棄するときは、次に相続人になる親族へ伝えておくと、行き違いを防げます。
■ 相続放棄の手続きと注意点
📝 費用:家庭裁判所に納めるのは、申述人1人につき収入印紙800円と、連絡用の郵便料です(郵便料の額は裁判所ごとに異なります)。これとは別に、司法書士や弁護士へ依頼する場合は報酬がかかります。ABCテレビの放送では、司法書士に依頼すると12,000円〜85,000円ほどと紹介されていました。報酬額は事務所によって幅があるため、見積もりを取って比べてください。
⏳ 期限:自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(民法915条1項)。この3か月は、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所で伸長することができます(同項ただし書)。調査が間に合わないときは、3か月が過ぎる前に伸長を申し立ててください。
ポイント:相続放棄の手続きは、法的書類の手続きは多いため、司法書士に依頼がスムーズ
また、相続放棄の期限は、被相続人が亡くなった日からではなく、自分が相続人であることを知った日から3ヶ月となります。例えば、親戚である被相続人と何年も交流がなく、5年後に亡くなったこと相続義務があることを通知などで知った場合、その日から3ヶ月以内に決める必要があります。
ポイント:相続放棄は、3か月の熟慮期間内であっても撤回できません(民法919条1項)。ただし、詐欺や強迫を受けて放棄した場合など、民法総則・親族編の規定による取消しは別に認められています(同条2項)。
例えば、相続放棄の手続きをしたあとに、実はとんでもない価値の遺産や財産が出てきた場合、それらを引き継ぐことはもうできないということ。
なので相続放棄の決断を行う場合は、慎重に調査を行い、資産価値や負債について見定めることが重要となります。3ヶ月という期間は短く、その期間内に調査を行ったり、決断するのはなかなか大変です。
■ 相続放棄しても管理義務が残る!?
相続放棄をしても、放棄した時点でその財産を現に占有していた場合には、相続人や相続財産清算人に引き渡すまでの間、自分の財産と同じ注意をもって保存する義務があります(民法940条1項)。逆にいえば、遠方に住んでいて一度も立ち入っていない家のように、放棄の時点で占有していなかった場合は、この義務の対象から外れます。2023年4月1日の改正で、義務の範囲がこのように整理されました。放棄したあとに建物が原因で生じた損害について誰がどこまで責任を負うかは、940条とは別の規定や個別の事情によって判断が分かれます。実際の対応は弁護士・司法書士へご相談ください。
放棄だけでは片づかない問題を残さないためにも、親が元気なうちに「終活」として不動産の整理をしておくことが大切です。
■ まとめ:負動産を残さないために
✅ 不要な不動産は早めに売却・活用を検討する
✅ 相続放棄のリスクを理解し、専門家に相談する
✅ 家族と事前に話し合い、円満な相続を目指す
今後、さらに相続放棄が増加すると予想される中、「負動産を持たないための準備」がますます重要になってきます。
🔽 今回の記事は、ABCテレビニュース様の放送内容を参考に考察をまとめました。動画の方もぜひご覧ください!
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誰もがいつかは必ず考えなくてはいけないおうちの相続、使われないおうちが負動産になってしまう前に、家族で終活に取り組むことをおすすめしております。
この記事の根拠と確認日
- 相続の放棄の申述(裁判所) — 申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、期限は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内、費用は申述人1人につき収入印紙800円と連絡用の郵便料(額は裁判所ごとに異なる)であることの根拠。確認日 2026-11-04
- 民法(明治29年法律第89号/e-Gov法令検索・デジタル庁) — 第915条第1項(3か月の熟慮期間と家庭裁判所による伸長)、第919条第1項・第2項(撤回の禁止と取消しの余地)、第940条第1項(放棄の時に現に占有している場合の保存義務)、第887条・第889条・第890条(相続人の順位と配偶者の相続権)の根拠。確認日 2026-11-04
- 令和7年 司法統計年報 3 家事編(最高裁判所事務総局) — 第3表。相続の放棄の申述の受理(別一95)が、受理総数340,434件(旧受16,910件・新受323,524件)であることの根拠。確認日 2026-11-04
本記事は一般的な扱いを整理したものです。実際の可否・期限・費用は個別の事情によって変わります。判断の前に弁護士・司法書士など専門家へご相談ください。制度・数字は確認日時点のものです。改正や更新があれば本記事も更新します。
オハナホームには、終活カウンセラーや上級相続診断士が在籍しており、おうちのご相談に関して無料でご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にご連絡下さい!