「バケツで受けていれば、大丈夫ですか?」
千葉で空き家の相談を受けていると、雨漏りのことで、そう聞かれることがあります。梅雨や台風の季節は、特に気になる時期だと思います。
水はバケツに受け止められている。だから「大丈夫」と言ってほしい。その気持ちは、よく分かります。
それでも僕は、その場で「大丈夫です」とは言いません。部屋から見えているのは、天井の表面だけだからです。
バケツが受けているのは、出口の水です
バケツで受けるのは、床を守る応急の対応としては意味があります。
ただ、それは落ちてきた水を受けているだけです。水が入ってくる入口は、どこかに開いたままです。入口をふさがない限り、天井裏では濡れる時間が続きます。
水は、見えないところを通って落ちてきます。天井板が黒く染みている家では、屋根裏の断熱材が濡れ、梁にカビが広がっていることもあります。
断熱材や梁まで濡れているなら、中で腐れやカビが進んでいるかもしれません。そこは、建物の専門家に確かめてもらう必要があります。
空き家には、もう一つ心配があります。人が住んでいないので、バケツがあふれても、次に見に行くまで誰も気づきません。
天井がたわんでいたら、雨がやんでも下に入らない
雨がやんで、水の落ちる音もしない。せっかく来たのだから、壁際だけでも片づけたい。
でも、天井に雨染みが広がり、表面が波打って、継ぎ目が開いているなら、僕はその日の片づけを止めます。
天井裏がどこまで濡れているのか。天井を支えている部分が、いまどうなっているのか。そこが分からないまま、安全な範囲を僕が決めることはできません。
ただ、何も決めずに帰ってしまうと、次に来るきっかけを失います。なので、その場で三つだけ決めておきます。
① 入らない範囲を、広めに決める
② 安全な位置から、雨染みや波打ち、開いた継ぎ目を写真に残す
③ 建物の専門家に見てもらう日にちを決める
特に大事なのは③です。見てもらう話が「そのうち」のままだと、日にちが決まらないまま過ぎていきがちです。誰に頼むのか、いつ来てもらうのか、どこを見てもらうのか。そこまで決まっていれば、片づけを止めた日も、次の段取りにつながります。
専門家に見てもらう目安と、頼む順番
雨のあとに見に行けるときは、安全な位置から、天井の染みを毎回同じ場所から撮っておくと、前と比べられます。天井がたわんでいたら、その下には入らないでください。
次のようなときは、自分で判断せずに見てもらってください。相手は、建築士など建物の専門家や、専門の工事業者です。
- 天井の雨染みが、前より広がっている
- 天井がたわむ、波打つ、継ぎ目が開いている
- 天井裏がどうなっているか、確かめたい
- 雨のたびに、バケツを置かないといけない
- 屋根の状態を確かめたい
天井裏や屋根には、ご自分で上がらないでください。高い所の確認は危ないので、専門の人に任せてください。
頼むときは、順番を分けて考えます。まず、濡れている場所の下を、どこまで使うかを決める。次に、雨水がどこから入っているのか、原因を調べてもらう。そのうえで、梁など骨組みへの影響と、直し方を見てもらいます。
屋根に上がらずに、見えない場所を見る
屋根は、上がらないと分かりません。でも、上がるのは危ない。そこで僕らは、360度カメラを使っています。
誰も屋根に上がらずに屋根の全体を写すために、カメラを3メートルの棒の先に付けて、開けた窓から外へ伸ばします。
※まねをするときは、窓から身を乗り出さないでください。
写したものは、その場でスマホやiPadの画面に出して、所有者さんと並んで確かめます。ずっと下から見上げるだけだった屋根の上を、ここで初めて目にする方もいます。
雨漏りには、サーモグラフィも使います。目に見えない温度が、色になって画面に出ます。見たくなかった状態が映ることもあります。
それでも画面をお見せするのは、知らないまま抱え続ける時間のほうが、長くて重いからです。
どの道具も、原因を決めつけるためのものではありません。「なんとなく傷んでいる気がする」という感覚を、目で確かめられる形にして、建築士など、その先を調べる人に引き継ぐ。僕が受け持つのは、そこまでです。
まだ決めていなくても
直すのか、手放すのか。まだ何も決めていない段階でも、相談してください。雨漏りの様子を一緒に確かめて、何から順に進めるかを整理します。
電話:0120-087-255(受付 9:00〜17:00・日祝休み)
フォーム:https://ohanahome.jp/contact/
執筆:空き家再生士 きくちまさお(オハナホーム株式会社 代表)