売れない空き家には理由がある|千葉で動かない家を、値段以外の視点から確認する

冒頭回答

千葉県内で空き家が売れない理由は、価格だけとは限りません。接道や再建築の条件、建物の状態と残置物、共有や相続未了といった権利、地域の需要、情報の出し方。どれが効いているかで、仲介・買取・貸す・持ち続ける・解体のどれが合うかが変わります。ただし原因が分かってもすぐ動かせるとは限らず、権利・税・建築の判断は専門家の確認が要ります。まず原因を分けることからです。


「売れない」のひとことの中に、いくつもの原因が混ざっています

「半年出しているのに、問い合わせが一件もない」
「査定をお願いしたら、うちでは扱えないと言われた」

原因がひとつだけ、ということは多くありません。価格を下げれば動く家もあれば、いくら下げても、買主さんが融資を使いにくいために動かない家もあります。ここでは理由を5つに分け、それぞれに「自分で確認すること」と「専門家に確認すること」を整理しました。全部を一度に調べなくて大丈夫です。当てはまりそうなものから、ひとつずつで。

1. 価格と相場がずれている

相続のときに聞いた評価額、何年も前の査定額、近所の売出価格の噂。どれも、いま実際に売れている価格とは別のものです。近隣の取引価格を見れば、建物付きでも土地の価格に近い水準で成約している例があるかが分かります。

自分で確認する

  • 固定資産税の課税明細書で、土地と家屋の評価額を分けて見る
  • 国土交通省の不動産情報ライブラリで、同じ市町村の実際の取引価格を見る(2026-09-16確認)
  • いまの売出価格が、いつの時点の根拠で決まったかを思い出す

専門家に確認する

  • 査定額の内訳を、土地・建物・減額要因に分けて説明してもらう
  • 「この価格なら何か月で売れる想定か」を、価格とセットで聞く

2. 再建築ができない、接道の条件を満たしていない

価格を下げても動かない家の代表が、建て替えのできない土地です。建築基準法は「建築物の敷地は、道路(略)に二メートル以上接しなければならない」と定めています(第43条第1項)。ここでいう「道路」は、原則として幅員4メートル以上のものを指します(第42条第1項)。この決まりが適用されるのは、都市計画区域と準都市計画区域の中です(第41条の2)。

ただし、幅が4メートルに満たない道でも、この章の規定が適用されるようになった時点で建物が立ち並んでいて、特定行政庁が指定したものは「道路」とみなされ、敷地を後退させること(セットバック)を前提に建て替えができる場合があります(第42条第2項、いわゆる2項道路)。前面道路が4メートル未満だからといって、そのまま再建築不可と決まるわけではありません。逆に、指定がなければ2項道路にはなりません。第43条にも、認定や許可による例外があります。自己判断で結論を出さないほうがいい部分です。

どの種類の道路に当たるかは、その土地を所管する特定行政庁の窓口で調べられます。窓口を探すときは、順番があります。

  1. まず、自分の市町村の特定行政庁がどこかを確かめる。 千葉県内で市長が特定行政庁になっているのは14市(千葉市・市川市・船橋市・松戸市・柏市・市原市・佐倉市・八千代市・我孫子市・浦安市・習志野市・木更津市・流山市・成田市)で、その区域は市の建築指導課が窓口です。
  2. それ以外の市町村は、千葉県が特定行政庁です。 建築物に関する手続の窓口は、その区域を所管する県の土木事務所(建築課・建築宅地課)です。ただし野田市と鎌ケ谷市は、土木事務所ではなく県庁の建築指導課が所管します。
  3. 四街道市・白井市・印西市・茂原市・君津市は「限定特定行政庁」です。 一定の範囲の建築物については市が扱うため、この5市では市と県のどちらが窓口になるかを最初に確かめてください。

どこが所管かは、下記の千葉県の一覧で確認できます。

出典:建築基準法 第41条の2・第42条・第43条(e-Gov法令検索)(2026-09-16確認)/千葉県 市町村別・県出先機関一覧-建築物に関する手続(令和7年4月1日更新、2026-09-16確認)

建て替えができない場合、買主さん側では担保評価と住宅ローンの扱いが問題になります。扱いは金融機関ごとに異なるため、買主さんが利用予定の金融機関に確認してもらう項目です。

自分で確認する

  • 敷地が接している道の幅を、実際に測ってみる(4メートル未満でも、2項道路に当たることがあります)
  • 公図・測量図で、敷地と道路が接している長さを見る
  • 市町村の都市計画情報で、用途地域と市街化調整区域かどうかを調べる

専門家に確認する

  • 上の順番で調べた特定行政庁の窓口で、前面道路が建築基準法上のどの道路に当たるかを確認する(認定・許可の可否は特定行政庁の判断)
  • 建築士に、現行の条件で建て替えが可能か、例外規定やセットバックの余地があるかを見てもらう

3. 建物の状態と、残っている荷物

雨漏り、傾き、シロアリ、給排水管の劣化。家財や遺品が残っていると、床や壁の状態は見えないままになります。荷物の扱いは売り方によって変わります。この点は荷物が残った家は売れる? 遺品整理と空き家売却の順番で整理しています。

自分で確認する

  • 雨漏りの跡、床のたわみ、基礎のひび、水漏れの形跡を写真に撮っておく
  • 通帳・権利証・保険証券・写真など、先に取り出すものを決める
  • 電気・水道・ガス・浄化槽が使える状態かを確認する

専門家に確認する

  • インスペクション(建物状況調査)で、構造と雨漏りの状態を診断してもらう
  • 修繕の費用と、修繕した分が価格に反映されるかを、分けて聞く

4. 権利の整理が終わっていない(共有・相続未了・未登記)

名義が亡くなった方のまま、きょうだいの共有で合意が取れない、増築部分が未登記、抵当権が残ったまま。買主さんが決まっても、売る権限がそろわなければ引き渡せません。

相続登記は令和6年(2024年)4月1日から申請が義務化されています(法務省 2026-09-16確認)。期限の起算や必要書類、誰が申請できるかは事情によって変わるため、個別の判断は法務局または司法書士へご確認ください。

自分で確認する

  • 登記事項証明書を取り、所有者の名義と抵当権などの記載を見る
  • 相続人が誰と誰になるのかを、紙に書き出してみる
  • 建物の登記に、増築部分が入っているかを確認する

専門家に確認する

  • 司法書士に、登記の現状と、売却までに必要な手続きの順番を聞く
  • 共有者の意見が割れている場合は、話し合いの進め方から相談する
  • 税の扱いは税理士へ。不動産会社が判断できる範囲を超えます

5. 立地と需要、そして情報の出し方が、いまの売り方と合っていない

同じ千葉県内でも、通勤利便性の高い地域と、車がないと生活しにくい地域では、買主さんの層が違います。移住や二地域居住を考える方に向く家を、通勤前提の価格と広告で出していないか、見直す余地があります。

手がかりは3つ。最寄り駅・スーパー・病院までを距離ではなく実際の時間で書き出すこと。同じ地域でいまどんな物件がいくらで出ているかを見ること。空き家バンクや移住支援があるかを調べること(akiya.net 千葉)。そのうえで、地域の取引実績がある会社に、想定される買主さんの層と、賃貸に出した場合の需要を聞いてみてください。

届き方をもう一段左右するのが、情報の出し方です。写真が数枚しかない、間取り図がない、告知すべき事項の説明がない、返事が遅い。買う人が判断するための材料が、そろっていない状態です。自分の物件情報を買う側の目で見直し、写真と間取りで様子が伝わるかを見てください。依頼先には、これまでの問い合わせ件数・内覧件数と反応の中身、販売活動の報告の頻度、媒介契約の種類と期間と次の更新時期を聞けます。


5つの選択肢を、同じ軸で並べてみる

金額は物件と時期で大きく変わります。相場は断定せず、「何を確認すれば自分の場合の数字が出せるか」を書いています。

選択肢 確認する費用 確認する期間 手残りの見方 向いているケース
仲介で売る 仲介手数料、片付け・修繕費、売却期間中の維持費・固定資産税 売出から成約までの想定期間、媒介契約の期間 成約価格から諸費用と譲渡所得税を引いた額 住める状態で、需要のある立地。時間に余裕がある
買取で売る 買取時にかかる費用の有無、残置物や解体の扱いを誰が負担するか 査定から引き渡しまでの想定日数(案件ごとに確認) 提示額から諸費用を引いた額。仲介手数料の有無 現況のまま手放したい。遠方。期間の不確実性を減らしたい
貸す 賃貸に出すまでの修繕費、管理委託料、原状回復、保険 入居者が決まるまでの期間、契約期間 家賃から経費・税を引いた年間の残り。空室期間の見込み 建物がまだ使える。手放したくない理由がある
持ち続ける 固定資産税、火災保険、草木・通風などの管理費、遠方なら交通費 次に判断する時期を、いつに置くか 毎年かかる費用の合計額。数年後に売る・貸す・解体する場合の想定費用との差 家族の合意がまだ取れていない。使う予定が具体的にある
解体して土地で売る 解体費、廃棄物処分費、測量費、境界確定費 解体の見積から着工・完了までの期間 土地価格から解体費等を引いた額。住宅用地特例が外れた後の固定資産税 建物に安全上の不安がある。土地としての需要が見込める

解体の見積比較は八街市周辺の空き家解体の見積比較にまとめています。


「仲介で売れない」と「買取で買えない」は、別の話です

査定を断られたとき、その理由が「仲介では売りにくい」なのか「買取でも扱えない」なのかは、分けて聞く必要があります。仲介は住みたい個人を探す方法、買取は不動産会社が再販・活用の出口を前提に買う方法で、判断の軸が違います。仲介で不利に働く残置物や傷みも、買取では処分費・工事費として金額に織り込む項目になります。仕組みの違いそのものは空き家を売るには「仲介」と「買取」どちらが良い?にまとめています。

買取が向きやすい条件

  • 現況のまま引き渡したい
  • 遠方で、内覧のたびに現地へ行けない
  • 近所に売却を知られたくない
  • 引き渡し後の契約不適合責任の負担を避けたい
  • いつ売れるか分からない状態を続けたくない

買取でも個別確認が必要になる条件

  • 再建築ができず、再販・活用の出口が立てにくい
  • 売却権限が確定していない(共有・相続未了・抵当権)
  • 占有者がいる、賃貸中、近隣とのトラブルがある
  • 安全に立ち入れないほど傷みが進んでいる
  • 解体・測量・専門調査が前提で、費用の見通しが立たない

買取にも、買える条件と買えない条件があります。「買える/買えない」ではなく「どの条件が整えば進められるか」を聞くと、次に確認することがはっきりします。価格の付き方が気になる方は、格安だけど訳アリな物件…その理由と買い手の正体とは?も合わせてどうぞ。


選ぶ前に知っておきたい、税金にかかわる2つのこと

ひとつは、相続した空き家を売るときの特別控除です。 一定の要件を満たすと、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる特例です。ただし令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡で、相続または遺贈により対象の家屋等を取得した相続人が3人以上である場合は、控除額の上限が2,000万円になります。国税庁は対象を「平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるとき」としています。要件には、昭和56年5月31日以前に建築されたこと、相続の時から譲渡の時まで事業の用・貸付けの用・居住の用に供されていたことがないこと、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどがあります。ここに挙げたものが要件のすべてではありません。相続のあとに一度でも貸すと、この特例の要件から外れます。「とりあえず貸して様子を見る」前に確認してください。適用できるかは、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(令和8年4月1日現在法令等、2026-09-16確認)

もうひとつは、管理が行き届かない空き家の税負担です。 令和5年(2023年)12月13日に施行された改正空家法で(国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 2026-09-16確認)、倒壊などの危険がある「特定空家」だけでなく、その前段階の「管理不全空家」も指導などの対象になりました。国土交通省は、指導に従わず勧告を受けると「税負担の軽減措置(住宅用地特例)が受けられなくなります」と説明しています。

出典:国土交通省 空き家対策特設サイト「空家法とは」(2026-09-16確認)

制度の詳しい解説と千葉県内の自治体ごとの情報はakiya.net 千葉に整理しています。


オハナホームで確認できること

オハナホームは、千葉県全域を中心に、関東一円、物件によっては全国のご相談をお受けしています。初回相談・机上査定・現地調査は無料です。相続手続きが整理できていない家、荷物が残っている家、長く使っていない家も、現況のままご相談いただけます。

  • 他社の査定のセカンドオピニオン:提示された金額の内訳と、その前提の条件を一緒に確認します
  • 選択肢の整理:買取だけでなく、仲介・貸す・持ち続ける・解体して土地で売るも含めて、いまの条件で選べる方法を並べます
  • 確認できていないことは、確認できていないとお伝えする:接道、再建築、権利、建物の状態など、調べないと分からないことは、分からないままお伝えします

初回相談・机上査定・現地調査に費用はいただきません。千葉県外など遠方で費用がかかるケースは、事前に費用の有無をご案内します。残置物処分、解体、測量、専門調査などで費用が生じる場合は、実施前に内容と金額をご案内し、ご同意をいただいてから進めます。買取や仲介の可否、引き渡し条件、費用、日程は物件ごとの個別案内です。すべての物件の買取をお約束するものではありません。登記・税・法律の個別の判断は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家の領域です。

売ると決めていなくても大丈夫です。まず「何が原因で止まっているのか」を分けるところから、一緒に整理させてください。


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記事情報

項目 内容
執筆 オハナホーム株式会社
最終確認日 2026-09-16
次回確認日 2027年内(税制の適用期限が令和9年12月31日のため)
宅建業免許 千葉県知事免許(2)第17428号

出典

出典 URL 確認日
国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm 2026-09-16
国土交通省 空き家対策特設サイト「空家法とは」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/articles/2024020105.html 2026-09-16
国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報(令和5年12月13日施行) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html 2026-09-16
e-Gov法令検索 建築基準法(第41条の2・第42条・第43条) https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201 2026-09-16
千葉県 市町村別・県出先機関一覧-建築物に関する手続 https://www.pref.chiba.lg.jp/kenchiku/tetsuzuki/index-3.html 2026-09-16
法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(相続登記の申請義務化) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html 2026-09-16
国土交通省 不動産情報ライブラリ https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ 2026-09-16
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